そういえば、お兄ちゃんの車の助手席って初めて座る
だってこの車に初めて乗せてもらった時には、もう祐希がいて、チャイルドシートの隣が私の指定席だったから
ふたりきりで出かけるってことも今までなかったし・・
いつもは後部座席からお兄ちゃんの運転する姿を眺めてた
その際、私の視界に映っていたのは左斜め45度の彼がぐっと前を見据える表情だったから、真横で運転している顔っていうのも初めて
しつこいかもしれませんが
やっぱりカッコイイ・・・です・・・
しかもハンドル握りながらネクタイ緩めた
恥ずかしながら
今までほぼ毎日って言っていいほど顔を合わせていたのに
ノックアウト
「なんか俺、視線感じるんだけど・・・・気のせいか?」
気のせいじゃありません!
熱視線ビシビシ送っちゃってマス
でもそんな恥ずかしいコト言えないよ
お兄ちゃんに対しては
でもこの席は、過去も現在も、そして未来も
私ではない人が
座ってた、座ってる、そして座るハズ
でも今日だけは私がこの席占領させて頂きます
なんてったって
お兄ちゃん本人が “行くぞ、伶菜” って言ってくれたんだから
妹の特権というコトで・・・
『気のせいだよ、きっと♪』
私は今、自分の心の中を感じ取られないように調子よくそう声をかける。
三宅さんとの結婚話を断ったお兄ちゃんには
他に結婚を考えているような大切な人がいる
だから、ふたりだけのこのドライブが
もしかしたら最後になるかもしれない
だけど、湿っぽくなりたくない
今、この時間を大切にしなきゃ
そう思ったから。
「あっそ・・・」
それなのに素っ気なくそう応対したお兄ちゃん。
その視線は小刻みにキョロキョロを動いている。
しかも運転に集中しているのか、いつもに増して更に言葉数が少ない。
ドキドキしているのは私だけなのかな?
さっきまで、お兄ちゃんの大胆な行動に、テンションは上がりっぱなしだったのに
その返事で、一気に急降下
それにどこ行くかもわからないし・・・
私はまた頭の中でそう独り言を呟く。
そうしているうちにクルマはいつのまにか名古屋インターチェンジ方向に進んでいた。



