ラヴシークレットルーム Ⅰ お医者さんとの不器用な恋




そういえば、お兄ちゃんの車の助手席って初めて座る
だってこの車に初めて乗せてもらった時には、もう祐希がいて、チャイルドシートの隣が私の指定席だったから
ふたりきりで出かけるってことも今までなかったし・・


いつもは後部座席からお兄ちゃんの運転する姿を眺めてた
その際、私の視界に映っていたのは左斜め45度の彼がぐっと前を見据える表情だったから、真横で運転している顔っていうのも初めて

しつこいかもしれませんが
やっぱりカッコイイ・・・です・・・

しかもハンドル握りながらネクタイ緩めた

恥ずかしながら
今までほぼ毎日って言っていいほど顔を合わせていたのに
ノックアウト



「なんか俺、視線感じるんだけど・・・・気のせいか?」


気のせいじゃありません!
熱視線ビシビシ送っちゃってマス

でもそんな恥ずかしいコト言えないよ
お兄ちゃんに対しては


でもこの席は、過去も現在も、そして未来も
私ではない人が
座ってた、座ってる、そして座るハズ

でも今日だけは私がこの席占領させて頂きます


なんてったって
お兄ちゃん本人が “行くぞ、伶菜” って言ってくれたんだから
妹の特権というコトで・・・

『気のせいだよ、きっと♪』

私は今、自分の心の中を感じ取られないように調子よくそう声をかける。




三宅さんとの結婚話を断ったお兄ちゃんには
他に結婚を考えているような大切な人がいる

だから、ふたりだけのこのドライブが
もしかしたら最後になるかもしれない

だけど、湿っぽくなりたくない
今、この時間を大切にしなきゃ

そう思ったから。




「あっそ・・・」


それなのに素っ気なくそう応対したお兄ちゃん。
その視線は小刻みにキョロキョロを動いている。

しかも運転に集中しているのか、いつもに増して更に言葉数が少ない。

ドキドキしているのは私だけなのかな?


さっきまで、お兄ちゃんの大胆な行動に、テンションは上がりっぱなしだったのに
その返事で、一気に急降下

それにどこ行くかもわからないし・・・


私はまた頭の中でそう独り言を呟く。
そうしているうちにクルマはいつのまにか名古屋インターチェンジ方向に進んでいた。