いつだったか俺が傷付けてしまった三宅が、
伶菜の手を引いて消えてしまおうとしている俺の前に現れている
俺達を引き留めるために自分の意志でここへやって来たのではなく、奥野さんの手で引き釣られながら・・・だ
ちゃんと話すと悲鳴が混じる声でそう口にした三宅からは平常心なんて全く感じられない
奥野さんだって、よっぽどのことがない限り、こんな手荒いことはしないはずだ
『三宅・・・お前が企んだことなのか?』
三宅が何かを動かしていたのか?
福本さんが、伶菜を連れ去ろうとしている俺を止めようとしなかったり、
杉浦さんが佐橋さんのことを悪く言ったりして、
今から間違いを犯そうとしている俺達を肯定しようと思ってくれるぐらいのことを?
「だって、アナタの妹さんが自分からアナタのもとを去ろうとするきっかけがない限り、アナタは彼女を手離そうとはしなかったんでしょ?」
『・・・・・・・・』
蘇る
三宅教授が会いたがっていると言われ向かった鶴舞のホテル
そこで待っていた三宅が俺に訴えた言葉
{あの頃と違うのは、今、あたしならあなたの中に居座り続ける彼女を掻き消すことができる}
そして、自分の自制心のコントロールを失いかけて、三宅を抱こうとしていた自分がそれではいけないと踏みとどまった時、俺に三宅が問いかけた言葉
{妹さんのことを想い続けるということなの?}
{そんなの、おかしい!!!!!!}
{土壇場で理性を手放さない”大人”になった日詠クン、これからどうなるのかしら ね。}
それらが俺の頭の中で鮮明に蘇る
その時の三宅は、伶菜を手離そうとしない俺を理解し、俺との結婚話を諦めた・・・俺は勝手にそう捉えていた
「日詠クンが悪いのよ!私がいくらアナタにとって条件のいい結婚を迫っても、私のほうに振り向こうとしないんだから・・・」
でも、彼女があの夜に口にした{これからどうなるのかしらね}は
第三者という立場で俺と伶菜の関係に注目しているからということではなく、
これから俺と伶菜の関係性が変わるように仕向けるという宣戦布告の意味合いを含んだ問いかけだったんだ
それに気が付いた今
佐橋さんと三宅
接点があることなんて想像なんかしていなかった点と点
それらがもしかしたら重なり合っているかもしれないという疑問が浮かび上がる
もしかして、佐橋さんが伶菜に近付くように
そして、彼女と結婚するように
それらを三宅が仕向けたのか?
そんな疑問までも



