だから、自分のしたことをしっかり反省して
これからはしっかり前を向いて歩んで欲しい
だから、最後まで伝えたい
『だから、アナタはアナタの道をちゃんと歩んで欲しい・・・お金とかに惑わされずに、目の前にある自分のやるべきことをしっかりと着実にやって欲しいの。私も自分自身の力で祐希を幸せにするように精一杯努力するから!』
私は涙をぐっと堪えながらそう伝えた。
「伶菜・・・」
祐希に血の繋がった父親を作ってあげられなかった
・・・・その申し訳なさが急に押し寄せ、溢れそうになった涙をぐっと堪えて。
「・・・・・悪かったな。お前のこと、騙したりして。」
康大クンが初めて見せた申し訳なさそうな顔。
その顔は言葉以上に彼の正直な気持ちを表しているように思えた。
まんまと彼に騙された私だったけれど、彼のその顔を目の当たりにして、心のモヤモヤが少しだけ晴れたような気がした。
『もういいの・・・だから・・・・』
そして、私を騙そうとした彼と一緒になっておけばよかったと思わないように、私が自分自身の力で祐希を幸せにしてあげなきゃ・・・・そう心に誓うこともできた。
『お兄ちゃん、行こっ!』
そして、彼に伝えたいことを全て伝えた私は、先を急いでいたはずのお兄ちゃんの手首を掴み、グイッと引っ張った。
お兄ちゃんがどこへ行こうとしているかも知らずに。