『・・・・・・・・』

そんなことを考えながら、伶菜の様子を窺う。

彼女は両手で祈るような格好のまま、普段殆ど見かけない不安そうな、見方によっては怯えているようなそんな表情で佐橋さんを見つめている。


彼女にそんな顔をさせたまま、本当に幸せになれるのか?
彼女自身も俺と同様に
彼に対して何か思うところがあるんじゃないのか?


やっぱりそんな状況で彼女を手離してもいいと思えない


血の繋がりなんかもうどうでもいい

今、現在まで育ての親状態だった俺の手で祐希を
そして伶菜を
幸せにしてやればそれでいいんじゃないか・・・



だったらもう迷ったりはしない





グイッ!!!!!




『キミには悪いが・・・俺の気持ちは変わらない。』



掴んだ彼女の手はもう離せない

決めたんだ

もう他力本願で彼女の幸せを願うのではなく
自分の手で彼女を幸せにしてやりたいと

いくら彼に、血の繋がりの重要性を説かれても
もう自分の想いに背を向けることはできない



「それはお兄さんのひとりよがりな考えなんじゃないですか?」

「そんなのって、ありえないんじゃないですか?・・・・実の父親がいるのに気が進まないっていう理由だけで子供に父親という存在を返してあげないなんて・・・」

「それは世間的には決して許されることではないんです!」