ラヴシークレットルーム Ⅰ お医者さんとの不器用な恋



”気が進まない・・・・”

仲のいい入江さんや福本さん以外の他人の前では、自分の感情を見せようとはしないお兄ちゃんはそう言った

その一言は我儘・・・そうなじられても仕方がない
あと1時間もすれば一緒に住み始めるはずだった康大クンと私に
いきなりそんなことを言ったから・・・


ホントどうしたらいいんだろう、私
康大クンが “わかりました” って身を引いたら
今までのようなささやかだけど幸せな生活を続けられる

だけど、それじゃ
あんなに必死になって私と結婚しようと言ってくれた康大クンを傷付ける形にもなってしまう

私には自分がどうすべきか
今更決められない

康大クンはどうするんだろう?



そう思った私は康大クンの様子をこっそりと窺った。

立ったままお兄ちゃんを見ている彼。
いつもの爽やかで人なつっこい彼の表情はどこにもなく、彼の瞳はお兄ちゃんに突き刺さるような鋭い目付きに変化している。


怖い・・・・
そう感じた瞬間。

ついこの間久しぶりに病院という場所で再会し、結婚することをお兄ちゃんに納得させると言い切った康大クンの顔がふうっと頭を過ぎった。


『・・・・・・・』

あの時と同じ目をしてる

怖い
私が知っている康大クンじゃない・・・



「お兄さん・・・このままずっと妹である伶菜さんと暮らし続けるつもりですか?」

口調まで強く、そして冷たくなっている康大クン。


「・・・・・・ああ。」

彼の様子の変化が明らかになってきていてもお兄ちゃんは決して怯むことなく返事をする。


康大クンとお兄ちゃん
二人の間には暫くの間沈黙が続き、やはり尋常ではない空気が漂う。



そんな中、その沈黙状態に終止符を打ったのは

「お兄さん・・・僕が彼女の子供である祐希くんの・・・実の父親であることを知ってもそのお考えは変わりませんか?」

隠していた事実を語ってしまった康大クンだった。