『お兄ちゃん・・・』
「ん?どうした?」
『お兄ちゃん・・・あのね・・・』
「どうした?佐橋さんとなんかあったのか?」
彼を呼ぶ声だけで、私の異変を感じる彼に驚いて
そうじゃないの・・・が出てこない
「・・・また今度、佐橋さんに会う機会を作って、お前がカレに聴きにくいこととかがあれば俺から聴いてやるけど・・・」
私の頭の中はお兄ちゃんに聴きたいコトでいっぱいいっぱいになってる
けれども、お兄ちゃんの頭の中は、いまだに、康大クンへの質問が少なかったコトを気にかけているみたい
さっき、私が言い過ぎちゃったからだよね
でも、私が今、彼に聴きたいのはそういうことじゃない
『そうじゃないの・・・』
「・・・そうじゃないって?」
ようやく出た ”そうじゃない” を強調したいために勢い良く首を横に振る私に対して首を傾げる彼。
『あのね、私・・・お兄ちゃんに聴きたいことがあるの・・・』
首を振るのをやめ、彼の瞳の奥をじっと見つめた私。
彼も首を傾けるのを止めてまっすぐな瞳で私の目を見つめ返している。
「なんだ?」
心配そうな彼の声を耳にしても彼の気持ちを知りたい私は彼の瞳を奥をじっと見つめる。
そんな私から彼は目を逸らす気配なんか感じられず、本当に聴いてしまってもいいのかという迷いが吹き飛んだ。
『お兄ちゃんが・・・』
「・・・・・・・・・」
「アナタが好きな人は・・・誰・・・ですか?』
「・・・・・・・・・・・」



