「でもお前は、ちゃんと祐希を産んで、祐希と一緒にあんなに大きな手術を乗り越えて。」
『・・・・・・・・』
「俺、正直、凄いと思ったし、嬉しかった。お前を信じてよかったってな。だから、今回もお前が決めたことを信じよう・・・俺がどうこう言う必要はないんだって。」
『でも・・・』
「そう思ったから、カレにもそしてお前に多くの質問を投げかけるのはやめようと思った。ただ、それだけなんだ。」
いつもは決して口が上手いとは言えない
口数が多いとも言えない彼が口にした
・・・とても長い言葉
それはあまりにも彼の心の中が鮮明に映し出されていたように思う
あまりにもあったかくて
あまりにも重い
・・・その言葉達
でも、”信じよう・・”
彼に隠し事をしている私としては
彼のその言葉だけは、とにかく胸が痛い
彼の過去に関する真実を
そして
彼のコトが今でもスキという自分の想いを
隠している私としては胸が痛い
彼は妹である私と血が繋がっていないという真実を
彼のコトがスキという本当の自分の想いを隠してる私は胸がとても痛いんだ
でも、日詠尚史という人物がスキな人は私以外であるということをはっきりと彼自身の口から聞けば
もし彼に私と血が繋がっていないコトを知られてしまっても
私が彼のコトがスキというコトを知られてしまっても
なんら問題ないのかもしれない
ただの他人同士に戻ればいい
ただの私の片想いに戻ればいい
それだけのことだから
だから
彼がスキな人は私以外であるというコトを知れば
私が胸を痛めること・・・そんなことは一切ないのかもしれない
だから思い切って聴いてしまおう
彼に聴きたくても聴けなかったコトを・・・



