【Reina's eye ケース48:アナタのスキな人は誰ですか?】
新栄のカフェで、お兄ちゃんに康大クンと結婚することを正式に伝えた日。
お兄ちゃんは祐希を連れて一足早く帰宅していて、私は今後の予定を康大クンと一緒に話し合いをした後、彼らから遅れをとる形で家に戻った。
ガチャ。
ふたりでどう過ごしているか気にしながら開けた玄関ドア。
あれっ、いいニオイ!!!!
なんだろう?お腹空いてきちゃった
『ただいま・・・・』
リビングのドアを開けると、奥にあるキッチンの灯りがついていて、そこには小皿を口につけて味見しているお兄ちゃんの姿あり。
「あつっ!!!!・・・・あっ、おかえり。」
私の視線に気がついて驚いたのか、なにかを味見している最中に舌を火傷した様子。
『大丈夫?火傷したんじゃ・・・』
「よくあることだから心配するな。」
急いで駆け寄る私に彼は苦笑いを浮かべながらそう言い、手に持っていたおたまを土鍋の中に入れた。
「煮詰らないようにしないとな。」
そして、グラグラと音を立てていた土鍋の火力も弱める。
白いスープの中にきれいなオレンジ色の紅鮭やら白菜やらジャガイモやら豆腐やらが所狭しと浮かんでいる土鍋。
『おいしそう♪』
いい匂いに釣られて土鍋を覗き込む。
「だろ?石狩鍋作ってみた。ちょっと早いけど夕飯にするか?」
こうやって夕飯を作ってくれていた彼は昼間の不可解な言動をしていた彼ではなく、いつもここで見かける彼だった。
『うん。お腹空いたから食べたい。』
「じゃあ、着替えてこいよ。」
『うん。行ってくる。』
急いでコートと鞄を自分の部屋に置いて来ている間に、お兄ちゃんは絨毯の上でおもちゃで遊んでいた祐希を食事用の椅子に座らせてくれていた。