ラヴシークレットルーム Ⅰ お医者さんとの不器用な恋




『もう土曜日、なんだな。』


そして、正直なところ、やって来なけりゃいいと思っていた伶菜の彼氏と会う土曜日がとうとうやって来てしまった。
伶菜に導かれるがままにやって来た新栄のカフェ。


そこで俺は、

『先日はどうも。』

「こちらこそ・・・お忙しい中、足を止めて頂いてありがとうございました。」

『今日は、佐橋さんもランチですか?』

意外な人物に遭遇した。


「・・・ええ、まあ。」

客の多くがラフな格好の土曜日のカフェに似つかわしくないスーツ姿の彼が躊躇いながらそう返事をする。


大切な接待前とかで緊張しているのか?
それとも
職場以外で声をかけられたくなかったのか?

もしそうだったら、ここから早く離れたほうがいいだろう
伶菜と俺も待ち合わせしている人がいることだしな



『それじゃ、ごゆっくり。行くぞ、伶菜。』


俺は佐橋さんに会釈をしてこの場を離れようとした。

それなのに、伶菜そして佐橋さん共に拍子抜けした顔で俺を呼び止める。
しかも、伶菜だけではなく、佐橋さんまで俺のことを ”お兄さん” と呼ぶ。

それだけでなく、

「お忙しい中、お呼び立て致しまして申し訳ありません。」

深く礼をしながらそう挨拶をした彼。



目の前にいる彼は
大切な接待前とか
他の人と待ち合わせをしているんじゃない

彼がスーツ姿で待っていたのは俺達だったんだ



しかも、職場で顔を合わせている人間が伶菜の彼氏だったなんて

「いえ、こちらこそ・・・病院でお顔を合わせる機会があるのに、いきなりこんなところで妹さんの彼だと打ち明けられたら驚きますよね?」

驚かずにはいられないだろ