予想通りの美味しさ~と本当に嬉しそうで、見ているこっちが ”また買って来てやろう” と思ってしまうぐらいだ
後ろめたい気持ちを抱えたまま過ごすこの時間
それでも、早く過ぎて欲しいと思えないのは、なんだかんだ言っても、居心地がいいからなんだろう
でも、いつかこれも手離さなきゃいけないモノ
それを頭ではわかっているのに感情が付いていかないのは
「今度、カレに会ってくれる?お兄ちゃんの仕事がオフの土日いつでもいいから。」
『・・・・・・・』
俺自身がそれをはっきりと自覚してしまったせいなんだろう
伶菜という存在は俺にとって大切にしたい
そして
愛しい存在
そういう存在であることを・・・・・・
でも、”妹”である伶菜に
面と向かってそんなことは絶対に言えない
これから自分の足で幸せになろうと歩み始める彼女に
それだけは言ってはならない
そんな自分が彼女にしてやれること
それは
『ああ、週末な・・・・今度の土曜日でもいいぞ。休みだから。』
自分の想いを隠すための笑顔で
兄貴らしいことをしてやることだけなんだろう
気が付くな、伶菜
俺が今、想っていることに
気が付くなよ
そして
心おきなく、新しい人生の最初の一歩を踏み出せ
この時の俺は、彼女に対して気の利いた言葉なんて言ってやることができず、
心の中だけでそうつぶやくのが精一杯だった。



