ラヴシークレットルーム Ⅰ お医者さんとの不器用な恋





はっ?
夜空??
えっ???

私のどこがスキとか
私とどれくらいお付き合いをしているとか
子供の世話をするのがスキとか
残業の有無とか年収とか退職金制度とか

そんなのじゃなくて

よ、夜空?!



「・・ええ、よく眺めてますね。」


お兄ちゃんの不可解な質問に対して康大クンも一瞬だけ首を傾げたけれど、さすがは空気が読める達人のカレ。
すぐに軌道修正し、ソツのない返事をしていた。


そして不可解な質問をしたお兄ちゃんはというと、軽く目を閉じてゆっくりと頷いて

「・・・そうですか。僕が貴方にお聴きしたかったのはそれだけです。」

『・・・・・・・・』

「妹には両親がいないこともあって、結婚するにあたって貴方のご家族に対して色々とお手数をおかけするかとは思いますが・・・・どうぞよろしく御願い致します。」


さっきのようにどもることなく、丁寧な言葉でそう言ってから、康大クンに向かって深く頭を下げた。
そして、彼は突然立ち上がり、ベビーカーに乗っていた祐希を抱き上げた。



「すみません、祐希が・・・この子がちょっと眠そうなので、お先に失礼します。もし、何かありましたら妹にお伝えして頂ければ後程対応させて頂きますので。」

そして、特に笑顔を見せることなく、病院で働いている時のような真剣な表情で康大クンにそう語りかけた。


「わかりました。そうさせて頂きます。今日はお忙しい中ありがとうございました。」

お兄ちゃんから結婚の承諾を貰えて安堵しているであろう康大クンも緊張感を保ったままそう返答した。


でもここに来てまだ10分も経ってないような気がする

しかも祐希はここに来るまでに暫く眠っていて、今は目をギラギラさせているのに、祐希が眠そうだなんて
なんでお兄ちゃんはそんなコト言ったんだろう?



『お兄ちゃん。祐希だったら私が連れて帰るよ。』

お兄ちゃんの不可解な言動に頭の中が疑問符だらけの私までつい立ち上がってしまった。


「せっかくの休日なんだから、これからのことを佐橋さんと2人でゆっくり話をしておけ。祐希なら昼寝させておくから・・・」

『でも・・・』

「いいから。とりあえず座れな。」

『・・・じゃあ、祐希のコトお願いします。』

「わかった。それじゃ、佐橋さん、僕はここで失礼します。」

「今日はありがとうございました!!!!!」


お礼を伝えた康大クンにお兄ちゃんは軽く会釈をし、祐希を抱っこしたままベビーカーを器用に押してカフェから出て行ってしまった。