ラヴシークレットルーム Ⅰ お医者さんとの不器用な恋



医師と生命保険会社営業マンという関係ではなく
私の兄と私のカレという関係で顔を合わせる


『どうなるんだろう?』

「何が?」

『あっ、なんでもないの。大したことじゃないから。』

「・・・そうなのか?」

『そうそう♪』


私はちょっぴりヒヤヒヤしている自分の気持ちが一緒に来たお兄ちゃんにバレないように、いつもよりも口数多く話しながら待ち合わせ場所のカフェのドアを開けた。
その瞬間、コーヒーのいい香りが一気に立ち込めてくる。


『もう来てるかな?』


オシャレな外観だけでなく、美味しい名古屋メシを食べることができるカフェ。
ここはいつも若い人達で埋め尽くされていて、康大クンを探し出すのに一苦労する。

キョロキョロ辺りを見回す私よりも先にカレを見つけたのは、お兄ちゃんだった。


「先日はどうも。」

更に驚いたことに先に声をかけたのもお兄ちゃん。


「こちらこそ・・・お忙しい中、足を止めて頂いてありがとうございました。」

営業マンらしい康大クンの返事。


「今日は、佐橋さんもランチですか?」


珍しい
お兄ちゃんから話しかけるなんて

入江さんの前ではいつもよりも口数が多いのは知ってるけれど
患者さん以外で、付き合いなんかない他人に自分から声をかけるとか
本当に珍しいかも


「・・・ええ、まあ。」


口籠る康大クン
こういうカレもまた珍しい

さすがのカレも、緊張してるのかな?
結婚の話をするわけだし


「それじゃ、ごゆっくり。行くぞ、伶菜」



えっ?
お兄ちゃんそれだけ?

ヤダ、康大クンが私のカレだって気がついて、そういう珍しい反応をしたと思って見てたのに
しかも、ココで待ち合わせしているのに、”行くぞ、伶菜” だなんて
なんでそうなるの?


『お兄ちゃん・・・』

「お兄さん、あの・・・・・」


私と康大クンの声が重なった瞬間、お兄ちゃんはその場に立ったまま軽く眉間に皺を寄せ首を傾げた。