【Reina's eye ケース47:兄の不可解な質問】
祐希の初めての一人歩きをお兄ちゃんと見届け、彼が勤務する病院で康大クンと偶然会った日の翌日昼前。
昨晩も急に仕事になった様子のお兄ちゃんはお土産らしき紙袋を手にぶら提げ帰って来た。
「ただいま・・・コレ、お土産。」
差し出されたモノは、最近名古屋駅に専門店がオープンしたばかりの話題のバームクーヘン。
この前、祐希を連れて名古屋駅に買い物に出かけた時に、あまりにも長い行列を見かけて買うのを諦めたあの店のモノ。
昨日の昼はお兄ちゃんと顔を合わせるのを躊躇っていたのに
それから時間が経ったせいもあってか、受け取った紙袋を手にしてついついニヤケちゃう私がいる。
紙袋の中を覗くと、ほんのり甘い香りがして、ニヤケが止まらない。
”また今度、時間に余裕がある時に買いに行こう” って思っていたから。
でも、まさか・・・・・
『もしかしてお兄ちゃん、わざわざ名駅まで出向いて並んだの?』
頷くことなくニッコリと屈託のない笑顔を見せる彼。
こういう笑顔、病院で働いている時はもちろん家でも普段はなかなか見かけることはない
想い起こせば、えっと、海老名サービスエリアで焼きたてメロンパンをゲットして以来かもしれない
私もそうだけど、彼も甘いモノに目がないからかな?
って・・・
『っていうか、夜勤明けで、あの行列に並んだの?』
「・・・ああ。・・・いや、その・・・まあな。」
『凄い行列だったんじゃ?なんで今日?』
「・・・いや、だから・・“並んで買って来い” って言われていたから・・・。福本さんに。」
気のせいかやや歯切れが悪い返事をしながらもまた笑顔。