ラヴシークレットルーム Ⅰ お医者さんとの不器用な恋



日詠先生からの返事はない。

スーーースーーー

その代わりに耳元から聞こえてきたのは彼の寝息らしきもの。


『・・・・・』


どうしたの?日詠先生?
ただ、疲れて眠いだけですか?

でも、こんなことされたら
私、お腹の中に子供がいる妊婦なのに、日詠先生が私の事を好きなのかなって
そんなことあり得ないはずなのについ勘違いしそうです



抱きしめられたまま日詠先生の寝息を聞いていた私は密かにそんなことを心の中で呟く。

そんな中、私のお腹の中で
トンッ・・・・・
今までに感じた事のない振動を感じた。



『初めての、胎動?』

驚いた私は思わず声を上げる。


「・・・・ん?」

私は立ったまま自分を抱きしめた格好で眠ってしまった日詠先生をうっかり起こしてしまった。



「おっと、寝てた・・・・俺、ごめん。」

目を覚ました日詠先生はなぜか特に動揺する様子もなく、さっと後ろに下がって私を離し、傍にあった長いすに腰掛けた。



「ここ座って。で・・・どうかした?」

日詠先生に促されるままに長いすに腰掛けた私。
それでも胎動を初めて感じた興奮は収まらない。


『動いたの!!!!! お腹の中で、赤ちゃんが!!!!!』

「初めての胎動だな」

『うん!』


胎動の感触に驚いた私は、ついさっきまで日詠先生に抱き締められドキマギしていたのをすっかり忘れ、子供みたいにはしゃいでしまった。
日詠先生の白衣が自分の肩に掛かったままであることも忘れて。