ラヴシークレットルーム Ⅰ お医者さんとの不器用な恋




「取り乱す余裕すらないみたいね。」

『・・・・・・・』

「いつも冷静な日詠クンが院内で・・・途方に暮れる姿とかを(さら)すわけにはいかないでしょ?」

『・・・・・・・・』

「極度のシスコン・・・それも(さら)すわけにはいかないでしょ?主に女性患者を診る医師のイメージが歪んでしまうものね。」


途方に暮れる姿とかイメージとかなんてどうでもいい
俺自身が他人にどう思われようが知ったこっちゃない



「それに兄妹の恋愛は、世間的には許されない恋なのよ。」

『・・・・・・・・』

「もっと言うと、日詠クンがいくら彼女を想っても、彼女は他の男を見てる。」

『・・・・・・・・』

「兄である日詠クンがいくら彼女を想っても、彼女は日詠クンを異性として愛するという恋愛対象だと認識することはない。」

『・・・・・・・・』

「兄妹という関係はそういう関係なのよ。」


それでも、
兄という立場で始まった今の生活
それがいかに無理があったのかを
三宅が紡いだ言葉で嫌というほど思い知らされた。


「それに世界で一番スキな人とは結ばれない・・・ってよく言うでしょ?」

三宅の、更に俺を追い込むこの一言。


そして、

「あたしなら、今は日詠クンの一番じゃなくてもいい。いつか一番になれればいいと思ってる。」


俺を追い込んでいたはずの三宅が自分の想いを紡いだこの一言。


それらが、俺の首に手を回し唇にキスをしてきた三宅を突き放させてくれなかった。
徐々に深くなるキスに戸惑ううちに体がソファーに寝そべるような格好に倒される。


「もうやめなさいよ。」

『・・・・・・・・・』

「どれだけ想っても、何も変わらないんじゃない?」


ソファーの上で完全に仰向けにされた俺は彼女の突き刺すような視線を浴びる。
”あなたは間違っているんだ” と訴えかけているようなその強い視線に
今のこの状況を覆すだけのエネルギーを完全に奪われた。


「妹なんだから。」


彼女から発せられたこの一言によっても。