ラヴシークレットルーム Ⅰ お医者さんとの不器用な恋




どう見ても客室そのもの。
しかも、この広さからいうと、どうやらここはスイートルームらしい。


『なんでこんなところに来』

「さあ、廊下で立ち話も周りに迷惑になるから、とりあえず入りましょうよ。」


俺は再び三宅に袖を強く引かれ、


『おい、コレ、どういうこ』

「ほら、早く!!!!!」


部屋の中へ無理矢理引き摺り込まれてしまった。



引き摺り込まれた場所。
その目の前に広がるのは、高層ビルに設置されている点滅を繰り返す赤いランプと所々点いているクリーム色の灯り。
そして視線を少し下方に向けると、幹線道路を走る自動車のヘッドライト達が川の流れのように動き続けている。
伶菜が見たらきっと、キレイな夜景だねと大きな窓ガラスに張り付きそうな光景だ。


「名古屋駅のタワーよりは低いけれど、それでも素敵でしょ?」

『・・・ああ、そうだな。』


ようやく袖を掴む手を放してくれた三宅も俺の隣に並んで窓の外をじっと眺め、今度は袖ではなく、手を俺の右腕にグっと絡めてくる。
そうじゃないと違和感を感じずにはいられない俺。


『こういう景色・・・・三宅教授も好むのか?』

「愛弟子にはそういうタイプに見える?」

『考えられないな。』

「さすがね。」


自分感じた違和感は間違いじゃなかったこと
それを伝えても否定しない三宅の腕をするりと抜き取ろうとする。


けれども、

「こうでもしないと、ふたりで会えないでしょ?」

逆に強く掴まれた。




ふたりで会う必要?
俺と三宅が?



「病院では話せない内容ってとこよね。」


三宅は俺に何かを求めているのか?



でも、それは

『俺に婿になれという話か?』

なんとなく見当がついているけどな



「あらあら、いきなり話が飛躍するのね。」

『・・・・・・・・』

「あたしはそうなると嬉しいけど。」

『・・・それはどういうことだ?』


部屋の照明の明かりを燈し、ニヤリと笑う彼女。
その笑みに背中がゾクリとするのは、
それを見せる時の彼女は何かを企んでいる・・・それを経験的に知っているからだ。


「まずは、食べましょうよ。どんなに腕がいいシェフが作ってくれても、冷めたら味が落ちるわ。」



食事するよりもどういうことなのかを教えて欲しいと返事をした俺に

「食前酒。さっきはお酒、飲まなかったんだから、今度はこれぐらいは口にしようよ。」

『・・・・・その気はない。』

「一緒に飲んでくれたら、日詠クンが知りたがっていることを教えてあげるわ。」

彼女は食前酒らしき液体が入った小さなグラスを手渡してきた。