「伶菜?」
『ん?』
「顔、見せて。」
康大クンの胸に顔を埋める私に、またもや心配気に声をかける彼。
さすが、康大クン
やっぱりこの人は頭がいいというか、勘がいいというか
でも、一大決心をしてついた嘘はつき通すべき
これからこの人と長い人生を共に歩いていかなきゃいけないんだから
『ハイ♪』
私は自分の本当の想いが見透かされないようにハニカミながら顔を上げ、彼の目をじっと見つめる。
彼はそんな私の目を見つめ返して口を開いた。
「そうか、決心してくれたんだね。」
『・・・うん。』
「今までは、一人で寂しい想いやら大変な想いをさせてしまったけれど、これからは伶菜と子供とずっと一緒にいるから。」
よかった
私の本当の想い、こぼれていないみたい
「大切にするから・・・」
『・・・嬉しい。』
「愛してる、伶菜。」
彼の柔らかい表情から紡ぎ出された甘いその言葉達。
彼、康大クンと付き合い始めた頃は
このシチュエーションが自分の頭の中を頻繁に、そして自分勝手に駆け巡っていたっけ
甘い妄想ってヤツ
甘いプロポーズというものに憧れたあの頃
今、それが目の前で繰り広げられていても
・・・胸がキュンとしない
日詠先生に出逢う前に
そう言って欲しかった
そうしたらきっと私、
胸をキュンキュンしながら
康大クンに対してとろけるような甘い表情を返してあげられたのに
今、それをできなくても
せめて、嬉しそうな顔しないとね
この人が私の・・・ダンナさまになるんだから



