けれども、伶菜がついさっきから口に出すようになった通り
俺は伶菜の ”お兄ちゃん” という立場なんだ
そんな立場である俺が
寂しいとか
哀しいとか
・・・苦しいとか
そんな自分本位の感情を持ってはならない
『・・・・・・お前さ。』
もし、伶菜が自分の手で幸せを掴もうとしているのなら
自分本位でいてはダメなんだ
「え?」
『お前のその決断はさ、自分自身の幸せをちゃんと考えた上で選択したのか?』
だから聴く
彼女が熟考した上での決断なのかどうかを・・・・
「・・・・う、、ん。そうだよ・・・・」
俺に抱きついたまま、体をピクリと震わせた伶菜。
返事も、気のせいなのかたどたどしく聞こえる。
本当にそうなのかとふと疑問に思った俺は彼女に問い質したが、彼女はただ肯定するだけ。
それだけでなく、”そろそろ幸せになりたいから、結婚することにした” という言葉までも口にした彼女。
ダメ押しは
”彼、私のコト本当に大切に想ってくれてるし。”
”ここぞという時に私を助けてくれてるし。”
”祐希のコトも大切にしてくれてるし。”
”私の作る“鮭と茗荷の混ぜ寿司、美味しいってたくさん食べてくれるし”
たどたどしかったさっきまでの彼女とは異なり、
明瞭な口調で紡ぐ彼の長所を彼女に羅列されたことだった。
伶菜はあんなにもはっきりと
祐希の実の父親である彼のことを褒めるんだ
きっと伶菜は彼のことを
本当に愛しているのだろう・・・
伶菜は彼と結婚すれば
きっと幸せになれるんだろう・・・



