ラヴシークレットルーム Ⅰ お医者さんとの不器用な恋



嘘、つき通せていないなんて私、ツメが甘い

さすがにバレちゃったかな?
自分自身の幸せをちゃんと考えずに結婚という決断をしたというコトが



「そろそろ幸せか。」


ようやく口を開いた彼は俯いてそう呟いた。
彼が少し俯くことで、私とくっついていた背中が少し離れた格好になったことだけでも寂しさを感じずにはいられない。


「・・・それでいいかもな。」

『・・・・・・・』

「お前が自分自身をしっかり見つめた上で選んだ将来ならば・・・俺は・・・」

私の決断の言葉を肯定するような彼のその言葉によって、そして

「何も言うコトはない・・・よな。」


私の決断の気持ちを尊重するような彼のこの言葉によって
私が自ら仕向けたことなのに、どうしようもないぐらいの寂しさを感じずにはいられなかった。


私の気のせいかもしれないけれど
そう呟いた彼の声がなんだか、溜息雑じりの様な、素っ気ない様な
そんな感じに聞こえてしまった


意外・・・

だって彼は私のコトを妹だと思ってるわけだから
彼のもとから自立して結婚して幸せになるという私の前向きな決断を快く受け入れてくれると思ったのに

そして、今、こうやって彼を抱きしめてる私の手を

"ほら、お前の言い分わかったから、手、離せって!カレにヤキモチやかれるだろ?"
ってぼやきながら振りほどいてくれると思ったのに


そんな溜息雑じりの素っ気ないコトバが返ってくるだけなんて

『・・・そうなの?本当に何も言うことないの?』

意外な反応を示した彼についそう問いかけてしまった私。



「・・・・ああ。」

さっき声を荒げたのが嘘みたいに冷静に答えた彼。


よく考えてみれば、彼は私の決断を遮るようなそんなコトはしない人
私が結婚したいとちゃんと考えて出した結論だといえば
嘘だろう?なんて疑ったりそんなコトはしない人


いつでも、私の意志を尊重してくれる
彼は・・日詠先生はそんな人なんだ