さすがの彼も突然の私からの告白に驚いたよね?
康大クンのことをスキだった人って、つい過去形で表現しちゃった
だって今は私の中での康大クンへの本気でスキという想いはもう過去形だから

彼がなにも言葉を発しないというコトは、私が少々無理してそう言ってるの勘付かれたのかな?
それに完全に気付かれる前に、早めに話を終わらせたほうがよさそう

でなきゃ、私の決心が揺らいでしまいそうだから




『だから、今度こそ先生の・・・お兄ちゃんのもとから自立する・・・から・・・・』

「・・・・・・・・・」


彼は私に抱きつかれたまま、絶句状態継続中。
それでも私は彼の身体に絡み付けたその腕の力を決して緩めようとはしなかった。


『だからその前に、お兄ちゃんに甘えてみた・・。』

「・・・・・・・・・」


まだ何も喋ってくれない
おかしいな

“そうか、とうとうそんな時が来たんだな
俺もようやく兄としての肩の荷が下りるんだな。
よかったよ、本当に・・・・
ほらほら腕絡まってるから放せ”
とか言われながら突き放されると思ったのに

まだ絶句してる


ちょっと衝撃的だったかな?
やだ、もしかしてビックリしすぎて失神とかしちゃってる?
やだ、大丈夫?


『・・・・・先生?』


相変わらず反応がみられない彼が心配になった私は声をかけた。
その直後、彼から大きな溜息が漏れる。



「だからか、お前が俺のコト、突然、お兄ちゃんなんて呼び出した理由は・・」

暫くぶりに耳にした彼の声は呆れているような・・・そんな感じに聞こえた。



『うん・・・まあそうかなぁ』

笑って誤魔化しちゃえ!

でも先生は決して笑おうとはしない
寧ろ、もしかして不機嫌???


「・・・・・・お前さ。」

『え?』

「お前のその決断はさ、自分自身の幸せをちゃんと考えた上で選択したのか?」

いつになく真剣なその声によって
彼に抱きついたままの姿でも思わず背筋がピンと引き締まってしまった私。


『・・・・う、、ん。そうだよ・・・』


彼に顔を見られてなくてよかった
もしそうだったら私
きっと、今、嘘をついてたコト、彼にバレてた


「・・・・・本当によく考えたのか?」


私にそう問い質している彼も、姿勢を変えようとすることなく
私の顔を見ようともしていない。