ラヴシークレットルーム Ⅰ お医者さんとの不器用な恋




『・・・・・・・・・』


黙ったまま、俺を背中から抱きしめている伶菜。
背中から伝わって来る彼女の心臓の鼓動。
自分のものかと思うぐらい目まぐるしく打ち続けている。

彼女の顔が見えない今
彼女が何を考えてこんなことをしているのかわからない

ただちゃんと感じるのは
彼女と俺の心臓の動きが共鳴しているかのように動いていること



異性と肌を重ねることをしたことがないわけじゃない
むしろ、誘われることをいいことに、本能に任せて無茶をしたりしていたこともあるぐらいだ


無茶しながらも、どこか冷めた自分がいることも自覚していた


それなのにこんな風に心臓が共鳴するように感じるとか
そんな経験をしたことなんてない

それに今、気がついてしまうとか
ダメだろ?


お互いに兄妹であるって線引きをした今だからこそ
ダメなんだ



そう思った瞬間。
ほぼ俺の心臓とほぼシンクロしながら動いていた伶菜の心臓が俺の背中から離れ、今度は彼女の額が俺の鎖骨の上に触れた。
触れ合っているその箇所がじわじわと熱を帯びてくる。
それと共に伝わってくるのは、ひくひくっとかすかにしゃくりあげるような振動。