ラヴシークレットルーム Ⅰ お医者さんとの不器用な恋




今の伶菜の言動
さっきの、心臓が妙な動きをしていた俺だった時じゃなくてよかった

もしその時だったら、いろんなことをすっ飛ばしていて
俺は何をしていたかわからない

頭が仕事モードに切り替わっている今なら
聞き流すこともできるだろう

それに伶菜は頭の中でいろいろな妄想したりする傾向があるから
今もただ、変なことを考えていただけだろう

今も目を閉じたままでいるからな

というか
もし俺以外の男とかにもこんな風なことを言ってるのなら
ちょっとお灸を据えたほうがいいのかもという気にもなってきた

スキにしていいよなんて言ってるぐらいだから
遠慮しなくてもいいよな

いくら注射嫌いだからって
今の彼女には必要なモノなんだ

だからスキにさせてもらう


『・・・・・いいか?』

「・・・・う、うん。いいよ。」


針刺しはオレンジ色の豆電球の灯りでも一発で仕留めてやるから
伶菜、覚悟しとけ


心の中ではそう呟き、注射針の挿入とフェジン静注はできたものの、流石に点滴流量の調整は豆電球の灯りの下では難しい俺は電気スイッチに手を伸ばした。


そうやって明るくなった部屋でわかったこと。

それは、点滴パックをひっかけるフックの場所。
そして
伶菜の呆然とした顔。


ついでに
ついさっき湯船に浮かべたあひると瓜二つの口元。

『スキにしていいって言うから、スキにしてやった。』

そのアヒル口のせいで俺の意地悪心に火がついた。



点滴のルートを目で追って点滴パックのありかをおそるおそる確認する伶菜。
腕に刺さっている針に目をやる伶菜。
そして
俺の顔を見て、わけわからないと言わんばかりに顔を歪めた伶菜。

ちょっとやりすぎたかもしれないと思った俺は、彼女の食事をどうするかなんて話を逸らしてみたりする。
期待通りにその流れに乗ってしまう伶菜。


それらの伶菜は
どの伶菜も全部


『お前さ・・・』

「えっ?」


・・・俺の妹なんだ



『心配かけるのとか・・・俺だけにしろ・・・な。』


たったひとりの妹という存在なんだ