浴室から出て、着替えようとするも、いつも洗面所に置いてある祐希のバスローブも俺のTシャツもない。
どこにあるんだろうとリビングのほうに向かうと、チョコがない~と呟きながら伶菜が冷蔵庫内を覗き込んでいた。
『もう食べきっちゃったんじゃないか?まあ、買っておいたのがあるからいいけどな。』
俺は自分の部屋に戻り、先日、名古屋駅で本屋に寄った際、ついでに買っておいた伶菜のお気に入りなチョコレートを取り出した。
そして、キッチンに向かうとまだ冷蔵庫の前に立ってチョコレートを探す伶菜の姿があった。
とりあえず、祐希を素っ裸のままでいさせるのはよくないと伶菜にバスローブがどこにあるかと尋ねるも、彼女は驚いた表情で体をフラつかせた。
チョコを探していたぐらいだし、腹が減って血糖値が下がっているかも
そう考え、持っていたチョコを口の中に放りこんでやりながら、まだ体をフラつかせた彼女を自分の胸で受け止めた。
それでも、まだ揺れる彼女の体。
『祐希、ちょっとここで遊んでてくれな!』
彼女のことをちゃんと ”診なきゃいけない”
そう思った俺は伶菜を抱きかかえ、伶菜達の寝室ではなく
自分の部屋に向かった。
伶菜をこうやって抱きかかえたのは
彼女が妊婦だった頃以来だろうか?
相変わらずの体の軽さ
甘いモノがスキなはずなのに・・・だ
彼女独特の甘い香りも相変わらずで
このままの距離だと心臓の動きを狂わされそうだ
余裕がなくなりつつあった俺は電気を点けることなく自分の部屋のベッドの彼女の体を降ろした。
何も言わずに俺をじっと見つめる彼女の視線に
俺の心臓の動きはもっと狂わされそうになる
忙しくていつも一緒とまではいかないけれど
一緒に暮らしているんだぞ?
兄と妹という関係で一緒にいるのに・・・・
彼女の主治医を自ら降りたことで彼女を診ることを躊躇っていたけれど、目の前でフラついた彼女の状態をちゃんと診るって心を決めたのに
目まぐるしく動く心臓とか・・・俺のこの有様は
一体、なんなんだ?
こういう自分の異変を感じる経験なんてなかった
ホント、なんなんだ?



