ここには
この部屋には
彼と私と祐希の想い出がいっぱいつまっていて

まだまだそれを想い出したいのに
気持ちが高ぶってしまって
もうそれ以上想い出せない


嗚咽があがり始めそう
彼が心配しちゃうから、そろそろ彼に話しかけなきゃ

そろそろ彼を
肌を通して彼を感じるのを止めて

ちゃんと自分から彼に今度こそ彼から自立すること
そして康大クンと結婚すること

ちゃんと自分の口から言わなきゃ・・・



「伶菜・・・?」

『・・・・・・・・』

「お前、泣いてるのか?」

『・・・泣い、てなんかないよっ。』



ふーっと大きな溜息をついた彼。



「じゃあ、なんでこんなこと・・・」



なんでこんなコトって
私が彼に抱きついたコトだよね?

そう言われるのをなんとなく予測してたけど
いざ彼にそれを口にされると結構しんどいな

でも彼に突き放されるためにもやってるコトだから
ここで折れる訳にはいかない




『もうこんなこと、できなくなるから。』

「・・伶菜・・・・」


自分の一大決心が揺らいでしまわないように
私は彼の背中から抱きついた両腕に更に力を込めた。