「ああ、そうじゃないけど・・」
やっぱり怪しまれてる
でも、
康大クンにプロポーズされて、どうしようか悩んでいたこと
日詠先生から自立することにしたこと
福本さんから日詠先生に関する新たな過去の事実を聞いてしまったこと
それらを彼に悟られるわけにはいかない
祐希に、そして日詠先生に幸せになって貰うためには覚られるわけにはいけない
『じゃ、今日はビール!鰯のフライ揚げたてだからビール美味しいよ♪』
「・・・・・・・・」
『さ、お、兄ちゃん・・・祐希、もうお風呂場に向かっちゃったよ!』
「ああ、あ、おっと祐希!!!!そこはトイレだぞ!」
彼はキッチンで缶ビールを頬にくっつけながらそう語りかける私とトイレのドアをドンドンと叩いている祐希に交互に目をやりながら、彼は祐希をゆっくりと追いかけて行った。
ちょっとどもって “お兄ちゃん” って言っちゃったけど
祐希のイタズラのおかげで彼に突っ込まれずに済んだ~
この調子で、日詠先生を自然に “お兄ちゃん” って呼ぶことを続けなきゃ!!!
その前に今日、いろいろあって疲れちゃったから、ゴハン前だけどチョコレートで栄養補給しよう
あれ?ここにチョコ入れておいたはずなんだけど
ガサゴサ、ガサゴソ、ガサッ
「伶菜?・・・伶菜って!」
『あっ、ひ、、え・・じゃなくてお兄ちゃん、もうお風呂でたの?』
「・・・祐希のバスローブと俺のTシャツ見なかった?」
そう言いながら後ろを振り返ると、全身素っ裸の祐希を抱っこした上半身裸姿の日詠先生が立っていた。
うわーーー
祐希はともかく、日詠先生まで上半身裸だよ~
今も、彼の白衣姿に見惚れてしまうけど
お風呂上がりの彼の裸体にもいまだにドキドキせずにはいられない!!!
彼はお兄ちゃんなんだからそろそろ
そういうドキドキにも慣れなきゃいけないのに
肩幅が広くて、意外にガッチリしている体に所々に水滴がまとわりついているとか・・・フェロモン出過ぎちゃってるよぉ
クラクラしちゃうよっ
『どーこに行っちゃっ、たか、なぁ・・バスローブちゃんとTシャツ~?』
「伶菜!!!!! おい、おい、大丈夫か?とりあえずコレを・・」
コロンッ!



