「だから、私はさっき、プロポーズしてきた祐希クンの実の父親クンにアナタが即座に返事をしないように邪魔したのよ・・・彼が以前アナタについていた嘘がどういう目的でつかれた嘘なのかをアナタ自身が冷静になって判断する時間を持てるようにね・・・」
確かに福本さんに止められていなかったら
私は康大クンと結婚するって言っていた
康大クンが私の仕事のこととか考えてくれた結果、嘘が付いてくれただけだと思う
だから、仕事をしていない今
祐希の実の父親である彼と結婚することに何の障壁もない
そう思った
でもそれって
今の自分が本当に望んでいること・・・なの?
今の私、充分幸せだよ?
本当にそれでもいいの?
『福本さん・・・さっきお父さんに伝え足りないって叱られるって言ってた・・・お父さんの代わりに、私に忠告してくれたの?』
今度は私の方が息が詰まる。
日詠先生とお父さんがシンクロしているみたいに
福本さんがお母さんとシンクロしているみたいに感じてしまって・・・
そんな彼女は口角をグイッと引き上げて、ゆっくり一度だけ瞬きをして見せてくれた。
それは、私の言葉を肯定するかのように・・・
「今度は私自身からの忠告。伶菜ちゃん、さっきの嘘の話を肝に銘じてこれからのアナタの未来をじっくり考えて!・・・・アナタがちゃんと幸せでいられる方法を選べるようにね・・・・」
『私自身の未来・・・・』
「そう。そしてナオフミくんにあの場所でもう二度とあんな辛い出来事を想い起こさせないように・・・・これはナオフミくんの友人として、そしてアナタの友人としてアナタ自身にお願いしたいことなの・・・・」
日詠先生にあの場所でもう二度とあんな辛い出来事を想い起こさせないように
それはきっと、私がこの先、父親や久保先生のように
あの場所で命を失ってしまうような誤った選択をしないように・・ということだろう
“何度でもなんとしてでも、救うから・・・”
それは この屋上で自ら命を絶とうとした時に彼から貰った大切な言葉
その言葉を彼から貰った時、私は
お父さんが身体を張って助け出したという妊婦さんと同じコトをしていたんだ
私はあの時、彼・・・日詠先生に
お父さんと同じコトをさせていたんだ
そんな私がもしまた自ら命を絶とうをしたら
彼はまた、その言葉を口にしながら
過去の辛い出来事を想い起こさずにはいられないだろう
そんなコトはもう彼に二度とさせたくない
彼の心に残る深い傷跡をえぐるようなそんな酷いマネはもうしたくない
そのためには福本さんの言う通り
私自身が今の状況を冷静に判断して
どの道を選ぶのかをちゃんと自分で決めなきゃいけないんだ



