『・・・・・・・・・』
いつもは “知りたい” という気持ちが先立って
頭の中で考えているコトを口に出してしまうのに
今はただ絶句
「彼の心の傷は計り知れないわね・・・・だって、父親が突然目の前で倒れてそのまま息を引き取ってしまったんだから・・・」
目の前で倒れて、息を引き取った彼の父親
そんな現場に居合わせてしまった日詠先生の心の傷は福本さんの言う通り、計り知れない
でも、その人は私の父親でもある
だから、絶句している場合じゃない
だって、それは私が聞かされていた父親の最期とは異なるから
『私・・・母親から “お父さんは癌で亡くなったって・・・星が大好きだったから神様に星にしてもらえたんだって・・・プラネタリウムの研究員だったからって・・・” そう聞いてたのに・・・・・』
「・・・・・・・・・」
『そう聞いてたのに・・・癌で亡くなったなら仕方ないって・・・ずっと自分に言い聞かせてたのに・・・』
激しく降る雨が更にパチパチと大きな音を立てながら、窓の上を流れ星のように消えていく。
まだ午後4時前というのに窓の外は既に薄暗かった。
まるで私の心の中を映し出したかのように。
「高梨先生はね、産前うつにかかっていて屋上から飛び降りようとした妊婦さんを身体を張って助け出した直後に高梨先生自身がめまいを起こして倒れてしまって・・・」
『・・・・・・・』
「直ちに心肺蘇生をしたけれど、戻って来なかった・・今の言葉でいう “過労死” ってヤツ・・・傍から見ていた私でも高梨先生の勤務実態は度を超えてた、、ぐらい、、、忙し・・」
この人が声を詰まらせた姿を見たのは2度目。
1度目は日詠先生の後輩医師の久保先生が亡くなった頃。
そして今回。
彼女も屋上というあの空間で、色々な想いを抱いた人だったことを知ってしまった。



