ラヴシークレットルーム Ⅰ お医者さんとの不器用な恋




『先生、いつもこんな所で休憩してるんです?』

そして私は早速、質問。


「ああ、唯一、俺が休息できる空間。この真っ青な空を眺めてるとリラックスできるんだ。」

丁寧にそう答え、空を見上げる日詠先生の横顔は男の人なんだけど、キレイという言葉がピタッとはまる気がする。



『先生、いつも空眺めてリラックスしてるんですね・・・』

その彼の横顔に見とれてながら私は呟く。
それでもまだ日詠先生は空を眺めたままだった。


「いや、死んだ親父と会話できるかもなんて思い空を眺めてる・・かな。親父が生きてた頃、よくプラネタリウムに連れてってくれてた。それからこうやってよく空を眺めるようになったんだ。」

何かを想い出そうとするかのような日詠先生の横顔。
それを見た私も幼い頃の自分にタイムトリップ。



『先生。私も父を亡くしていて・・・・私が1才の時だから覚えてなくて・・・私が知っている父は遺影に写っている父だけなんですけど。』

「・・・・・・・」

『私の父はプラネタリウムのある科学館で研究員をしてたって、母が言ってました。』

「・・・へえ。」


日詠先生は突然ベンチから立ち上がり、しばらく黙り込んでいる。
その空気に耐え切れなかった私は咄嗟に次の質問を投げかけた。


『先生のお父さんはどんな仕事していたんですか?』

私の声に反応して振り返った日詠先生はちょっぴり困ったような顔をしたように見えた。


「・・・産婦人科の医者だった・・・かな?」

『かな?って・・・覚えてないの?』


曖昧な彼の返事に驚いた私は思わず敬語を使うのを忘れてしまった。


「いや~どうかな・・・・そういえば」

『そういえば?・・・・・その後は?』

先生の事を知りたい一心で相変わらず敬語を忘れていた私に、日詠先生はニヤリと笑いかけた。


先生のそんな顔にもなんかドキッとする
私、どうしちゃったんだろう?