いけない、ワタシ
きっと今、顔ゆるゆるに緩んじゃってる
お箸を持ったまま顔緩んでるなんて、みっともない
福本さんにツッコまれちゃうじゃない
”もしかして伶菜ちゃん、ブラコン?!” ってね・・・
「あれ?伶菜?・・・伶菜だろ?」
福本さんも一緒にいるのに、ゆるゆるに揺るんだ顔をしながらどっぷりと自分の世界に入りこんでいた私の頭上から突然聞こえてきた男の人の声。
『・・・・・・・』
その声を耳にした瞬間、私は箸を持っていられないぐらい酷く手が震え始める。
その震えは手だけにとどまらず、腕、肩、そして唇までにも到達しようとしていた。
「伶菜、久しぶりだよな・・・あれっ、この子、伶菜の子供?」
『・・・・・・・・・』
その人は目の前に福本さんもいることにもお構いなしに、私に軽い口調で話しかけ続けるが、私は声すら出ない。
「そうだよな。お前の子供・・だよな。俺の計算、間違いないと思うからさ・・・」
その人がいう計算は多分、間違いない
だってその人は
「この子、俺の子供なんだろう?」
祐希の実の父親であることは間違いないから・・・
『・・・・・・・・・』
もう私の前には現れないと思っていた
私は彼に捨てられたと思っていたから
なのに
それなのに
なんで今頃・・・



