ラヴシークレットルーム Ⅰ お医者さんとの不器用な恋




こんな感じで日詠先生は、相変わらず妹である私に世話を焼いたりして、相変わらず甘々で・・・
この人がダンナ様だったらどんなにハッピーなんだろうと幸せな溜息をつく日々が暫く続いていた。







「伶菜ちゃん。」

『福本さん!!!!!』

「お昼まだでしょ?一緒に下の食堂で食べない?あそこの特製キムチ冷麺結構美味しいのよ・・・祐希クンが食べられそうなモノもあるしね・・」


いつものように日詠先生のお弁当を病院まで届けた後、受付辺りを祐希とフラフラ歩いていた時に昼食のお誘いを受けた私。


『今日、お昼ゴハン、外で適当に食べようと思ってたから、ご一緒してもいいですか?』

「モチロンよ~、こっちが誘ったんだし。さぁ、行こ!」


軽やかな足取りで病院の1階にある食堂へ向かった私達3人。

食堂は患者さんだけでなく、白衣を着た病院スタッフも入り混じり、大盛況状態。
その中を福本さんはスルリスルリとかき分けて席を確保してくれる。
混雑の中でもスムーズに注文できた私達は、彼女オススメの特製キムチ冷麺を、祐希はお子様オムライスを食べ始めた。




「伶菜ちゃん、最近、ナオフミくん、家に帰るコト多くなったでしょ?」

『そういえばそうかも・・・』


一緒に同居し始めた頃、日詠先生は ”忙しくてなかなか帰れないんだ” と殆ど家に居なかった
でも、福本さんの言う通り、最近は家に居ることが増えたような気がする



一緒にご飯作って食べて
一緒にお笑い番組を見て、笑い合って
祐希とは楽しそうにお風呂まで入っている


「亡くなった久保先生の後任の医師が配属されて、その医師がかなり動けるようになってきていて、ナオフミくんの負担が少し軽くなってきてるからね・・・それもあってか右耳の聞こえづらさもほぼよくなったって言ってたしね・・・」


確かに、右耳を押さえる仕草、最近見ていない
よかった
体のほうは元気になって来たみたいで

でも、心のほうはどうなんだろう?
熱が出たあの夜以降、彼の弱音みたいなものは何も聞いていないけれど


「でも彼の一番のクスリは伶菜ちゃんと祐希クンの存在なのかもね・・・」