ラヴシークレットルーム Ⅰ お医者さんとの不器用な恋



「伶菜?どうした?」

彼との ”ドギマギしながらあったかいやりとり” をしているうちに
スキという気持ちが改めて湧き上がってしまった私は
それを伝えてしまおうという ”魔がさした”状態になってしまっていた。
けれども、彼の自然な聞き返しによって我に返り、少しだけ冷静になった。


そして、


『私、小さい頃、風邪ひいた時はお母さんがすりりんご作ってくれてたけど、先生も食べてた?』

「・・・・・・・」

『・・・センセ?』

「・・あ、ああ・・よく冷やしてある林檎で作ってくれたよな・・・」


少しだけ冷静になった頭で幸せの損得勘定をした私は、彼に告げようとしていた言葉とともに自分のスキという気持ちにもまた蓋をする。

自分が一人の女性として彼に愛される自信がないと思ってしまった私はやっぱり妹のままのほうがいいと思った。


”今のままがいいってズルイけれど、妥当な選択”

私は自分にそう言い聞かせた。
だって今、凄く幸せだから。



でも

自分の幸せを優先させるために
彼が知らない過去の事実を彼に告げなかったという
自己中心的な選択をした人間には
それなりの仕打ちが待っていた。

自分自身の力だけではどうにもならないような仕打ち
そして、彼の妹という立場でいるから彼と一緒にいられるという猶予期間には終わりがあるということを改めて痛感するような仕打ち

自己中心的で、ズルイ選択をした私には
そんな仕打ちが待っていた。