ラヴシークレットルーム Ⅰ お医者さんとの不器用な恋




『・・・・・・・・』


どうしよう
私の将来を後押ししてくれるなんて
そんなコトのために日詠先生がまだ知らない真実が私の手の中に託されてしまうなんて


もし私が日詠先生と再会していなかったら
東京の日詠先生と早紀さんにこんなに辛い過去を想い起こさせることはなかったのかな?

日詠先生は事実を知らないまま、私の知らない女性と結婚して幸せになっていたのかな?

私なんかがこんな大事な事実を、真実を
自分自身の手でどう扱ったらいいかわからない



『私なんかが決断なんてできない・・・私が日詠先生の前に現れなければ、先生方もこんなに辛い過去を想い出さずにすんだのに・・・・』


ポロリとこぼれてしまった私の本音。
慌てて口を塞いだけれど、時すでに遅しで東京の日詠先生はじっと私を見つめていた。



「ゆっくり考えればいい。キミが納得いくまでね・・・」

東京の日詠先生のその一言に早紀さんも指でそっと涙を拭いながら頷いていた。


「それに僕らはキミが現れてくれたことを感謝しているんだよ。尚史はキミに再会してから本当に穏やかな顔をするようになったから・・・私達の前ではずっと他人行儀でいつも緊張した面持ちの彼だったからね。」


そういえば以前、入江さんも似たようなことを言ってたっけ?
“アイツは、今、凄くいい顔してるから” って言ってた
私と再会する前の彼がどんな風だったか知らないからそう言われてもピンとこないんだけど



『・・本当ですか?』


私は確認せずにはいられない。
いつも日詠先生にいっぱい面倒をかけさせてしまっている自分なのに、自分に再会してから日詠先生が穏やかな顔をするようになったなんて言われてしまったから。


「ああ。」

「そうよ・・・あなたが本来の尚史を取り戻させてくれた。私達はそう思っているのよ。」


同時に返事をした東京の日詠先生と早紀さんが顔を見合わせて笑った。
そんな彼らの笑顔を見て、私は少しだけ救われた気がした。

私のせいで辛い過去を想い起こさせてしまったはずなのに、彼らが笑ってくれたから。