「キミがそれを耳にすることで、キミのこれからの人生をも変えてしまうかもしれない・・・それでも僕が話そうと思うのは、尚史に、そしてキミに幸せになって欲しいから。」
日詠先生と私に幸せになって欲しい?
妹という立場だけど、私は今の生活で充分幸せだよ?
「でもそれはもしかしたら僕のエゴイズムに過ぎないかもしれない。だから、それを聞くか聞かないかは・・・キミの判断に委ねようと思う・・・」
”私のこれからの人生を変えてしまうかも”
そんなこと言われたら、聞くのがちょっと怖い気がする
でも
日詠先生だけでなく、私にも幸せになって欲しいからって
確かにそう言った
自らの手で祐希の命を救い、ちゃんと私のもとに還してくれたその本人がそう言った
だから信じたい
先生の
東京の日詠先生の言葉を
今の私なら何があっても頑張れる
だって私はひとりぼっちなんかじゃなく
祐希そして日詠先生というかけがえのない
血の繋がった家族がいるから
だから
『お聞かせ願えますか?先生が私に話しておきたいコトを・・・』
私は自分の中にあった怖いという気持ちを拭い去るように、先生の瞳をまっすぐ見つめながらハッキリとした口ぶりでそう返答した。
先生も、私に負けないくらいの力強い目で、私の瞳の奥をじっと見つめ、ゆっくりと頷いた。
私は大丈夫
大丈夫だよね?お父さん!
「・・・じゃあ、話そう。」
先生は私に告げることを決心したみたいだった。
『ハイ!』
そして私もとうとう心を決めた。
先生の言葉をちゃんと最後まで聴こうって。
「尚史は確かに高梨が亡くなるまで、つまりキミのお父さんが亡くなるまで、キミの家でもある高梨の家で育てられていた。」
そうだよね
あのジグソーパズルを持っていたぐらいだし
「でも、尚史は・・・高梨と詩織さんの間に産まれた子供じゃないんだ・・・・」
えっ?
詩織さんって、私のお母さんだよね?
それって
「尚史は、私達夫婦の間に産まれた子供なんだ。」
そんな・・・



