ラヴシークレットルーム Ⅰ お医者さんとの不器用な恋




「いや、俺も娘のことで大人気なくムキになっていたのをお前を見ていて気付かされたよ・・高梨の娘さんの前でこの病院を潰すようなことをしたら、天国のアイツに凄い勢いで怒られそうだしな。」

三宅教授はそう言いながら私の方へ向きを変え、柔らかい表情で軽く会釈して下さった。


「日詠、お前、変わったな。」

「そうか?」

「高校時代のお前は俺や高梨と一緒に居ても一人どこか違う方を向いていて、日本一の医者という名声を得るために日本一の医学部で学びたいからって名古屋に残らずに東京へ行ってしまった。そして外科医としての技術では日本一になった。そんなお前が次に目指してたのは日本一の大学の医学部長という地位だと思ってたんだけどな。」

「ああ、確かにそうだったかもしれないな・・・でも、、俺が欲しがっていたのはそんな地位よりも・・・アイツの親という立場だったかもな・・・」


再び向かい合った三宅教授と東京の日詠先生。
彼らは懐かしそうな表情で微笑む。


「日詠、今のお前の方がいいよ・・・人間らしくてな・・・・」

さっき日詠先生の肩を叩いた三宅教授の大きな右手が、今度は東京の日詠先生の右肩を捕らえて、すれ違いざまに力強く一発お見舞いをし、三宅教授も屋上を後にした。


三宅教授、ただ単に酷い人じゃなかったんだ
日詠先生を苦しめるような発言の数々はいろいろな想いが交錯してのことだったんだね


心の中でそう呟いていた私に、東京の日詠先生が近付いてきていた。
その顔は、なぜか少し悩まし気で。


「伶菜くん、キミにも話しておきたいことがあるんだ・・・」


何だろう?
私にも話しておきたいことって・・・・