「・・・ありがとうございます。」
「さあ、早く行きなさい!!」
三宅教授にすれ違いざま右肩を力強く叩かれた日詠先生は
三宅教授に、そして東京の日詠先生に対して深くお辞儀をしてから
何も言葉を発しないまま私達が居る屋上を足早に後にした。
医局員の撤退を白紙に戻すという三宅教授の言葉をしっかりと耳にした私と福本さんは、お互いに顔を見合わせて小さくガッツポーズ。
そして東京の日詠先生はというと、走り去る彼の後姿をじっと見つめながら、再びかすかに微笑んでいた。
彼は日詠先生とは血が繋がっていないはずだけど、本当の父親のような表情で。
そんな彼を見た私は、気がついてしまった。
日詠先生が
私のお父さんを ”親父” と呼び
東京の日詠先生のことを ”父さん” と
呼び分けていることを
そんな彼を見た私は、思い出してしまった。
以前、この屋上という場所で日詠先生が
親父が産婦人科医師だったとだけ言ったことを
改めてこの二人の距離感を感じずにはいられない
やっぱり血が繋がっていない親子は
本当の親子のような適度な距離感を保つことが難しいのかな?
「さてと、私もそろそろ失礼するよ。久保くんのご遺族へお詫びにいかないといけないからね。」
「ああ、結局、お前に助けてもらう形になってすまない・・・お前はこの病院に対していろいろな感情を抱いていたと思われるのにな。」
向き合う三宅教授と東京の日詠先生。



