ラヴシークレットルーム Ⅰ お医者さんとの不器用な恋




『部長、報告が遅れて申し訳ありません。』

「業務が立て込んでいたんだろ?それに日詠くんも久保くん自身から聴いてはいないんだろう?」

『ええ、すみません。聴き出すことができませんでした。でも、ERスタッフから状況は確認しています。』

「私もERスタッフから聴いている。大変なコトになったね。日詠くんも昨日はいたんだろう?なぜ、キミが対応しなかったんだ?」


部長はイライラ感を押し殺すようにパソコンのマウスをカチカチとクリックしながら、俺にそう問い質した。


『申し訳ありません。今の久保ならERに行かせても大丈夫だと判断しました。』

「例の妊婦さんが搬送された時点でか?」

『いえ、久保がERへ行った時点ではまだ搬送されておらず、私が他の妊婦さんの緊急手術中にERに搬送されたとERスタッフからは聴いています。』


それについて、ERスタッフからは、”日詠先生を呼びましょうか?と久保に尋ねたが、自分だけで対応するからいいと断られた” ということも聴いていたが、それを部長には伝えなかった。

ERに久保を行かせてしまったのは、自分の判断ミスだと思ったから。



「それにしても困ったものだ。ただでさえ人手が足りないのに・・・」

まだ経験は浅いとはいえ、久保も産科の医師のひとりとしてシフトに組み込まれている
部長としても、ここで今、久保がシフトから抜けることはとても頭の痛いことだろう


『久保のシフトのところ、僕が入ります。』

「すまないね。でも日詠くんだけじゃ、久保のところは埋まりきれないはずだから、私も会議とかの調整をして入るよ。それと奥野くん達にも入ってもらうよう調整する。」

久保のシフトを産科に関わる医師全員でなんとか埋め合わせをしながら、通常の診療体制を維持した。

加えて、俺は久保がERで対応した患者さんの主治医になった。