ラヴシークレットルーム Ⅰ お医者さんとの不器用な恋




「でもその前に、僕がキミに質問してもいいかな?」

えっ?私に質問?
何だろう?ちゃんと答えられるかな?


『は、ハイ・・・』

「じゃあ、早速・・・伶菜さん、日詠という人物はどんな性格をした男だと思う?」

『日詠先生の性格です・・・か?』

入江さんはゆっくりと頷く。


うーん、難しい質問だよね
一緒に過ごしていて思うのは何事もソツなくこなし、器用だよね
一見、クールに見えるけど、実はお茶目なところもあったりして
でも、彼のサプライズな行動で驚かされることも多々あるなぁ

口数が少ない人だから、何考えているかわからない時も結構あったりして


『・・・つかみどころがない・・・人です。』




ワハハハっ


『入江、さん?』

入江さんは少年のような笑顔で声を上げながら笑う。


もしかして私、
なんか変なコト、言っちゃった?


「ゴメン、こんなにも豪快に笑っちゃって・・・確かにアイツはつかみどころがないよな。」

『はあ・・・』

笑い飛ばされた私は呆然としながらそう返事をする。



「あんなに端正な顔立ちしていて、なんでもクールに器用にこなしてしまう非の打ち所がないような男なんだと思っていたけど、 数ヶ月前だったかな・・・深夜にね、アイツから突然かかってきた電話の声は今にも消えてしまいそうな声をしていてね・・・正直、驚いたよ。」

さっきは声を上げてまで笑っていた入江さんの顔は真剣なモノに一変する。

多分、数か月に日詠先生からかかってきた電話
その時、日詠先生に何があったんだろう?




「 ”大切な人を守ってやれなかった” ってアイツはその一言を言うのが精一杯で・・・・その時、初めて僕は日詠という男は実は不器用な人間なのかもしれないと感じたんだよ。」

『・・・大切な人を守れなかった・・・そんなコト、あったんだ・・・』

「そうなんだ。伶菜さん、僕もね、アイツと同じような気持ちになったコトがあったから・・・・だから、アイツには後悔させたままでいさせたくなかったんだ。」

『・・・・・・』

「僕は自分の立場とか彼女との関係とかを気にし過ぎて、大切な人を守り抜く勇気を持つことができなくて、長い間後悔し続けたから・・・」