そして余計な緊張感が抜けただけでなく、いつの間にか私の胸の鼓動の高鳴りまでも潮がひくように静かにおさまっていた。
さっきはあんなに緊張したのに
なんか、話しやすい雰囲気
高校の先生だからかな・・・?
学校でもいい先生なんだろうな~
そうだ、あのコトも聴いちゃおうかな?
『あの・・・聴いちゃっていいですか?』
「どうぞ。何かな?」
つい聴きたくなる
そんな風に警戒心のない顔で見つめられると、本人に聴けないようなコトでもつい聴きたくなっちゃうんだけど
それに、入江さんなら、サラリと答えてくれそうだし・・・
そして余計な緊張感が抜けただけでなく、いつの間にか私の胸の鼓動の高鳴りまでも潮がひくように静かにおさまっていた。
『日詠先生の大切な人のコト、入江さんはご存知ですか?』
「えっ?!大切な人が誰かって・・・?」
ミネラルウオーターを口にしたまま静止してしまった入江さん。
あれっ、入江さん
日詠先生の大切な人が誰か知らないのかな?
お二人、長い付き合いみたいだから、てっきりご存知だと思っていたんだけど
「伶菜さん?それ、真剣に聴いてる?」
『あっ、ハイ!!物凄い真剣です。』
「そうか~、真剣に聴いているんだね・・・でも僕の口からキミに言ってしまうと日詠に怒られそうなんでね・・・」
そうだよね
恋愛の話なんて、日詠先生の性格からいって、本当に心を許している人にしか話さないだろうから
それに、入江さんもそれをわかっているから話せないんだよね
多分、聴いちゃいけない話なんだね
「それでも、ひとつだけ教えてあげるよ。」
『ひとつ、だけ・・・ですか?』
「そう、ひとつだけ。」
入江さんは優しく微笑みながら人差し指を立てた。



