ラヴシークレットルーム Ⅰ お医者さんとの不器用な恋






それ、わざわざ言うなよ

入江さんは俺も敵わないぐらい、気が利く人
誰に対しても、好感が持てる人物と紹介できる人
伶菜があんな目をして彼のことを見ていたぐらいだから
惚れてしまってもおかしくはない


『・・・誰が?』

「日詠、お前が。」


嫉妬という感情
もしかしたらそれが自分の中にあるかもしれないと思い始めていたのに、それを素直に、認められない俺を見抜いたらしい入江さんがストレートに現実を突きつけたその時。
伶菜たちが注文していたシフォンケーキとホイップクリームの絞り袋が運ばれてきた。

入江さんが伶菜の前に置かれたケーキにホイップクリームを載せてあげようと絞り袋に手を伸ばそうとしている。

伶菜のために動こうとしている入江さんに対し
その役割をするのは彼じゃなく俺だと勝手に思った俺は


『伶菜、お前、ホイップこれぐらいのほうがいいだろ?甘いのスキだから・・・』

入江さんよりも先に絞り袋に手に取り、すぐさま彼女のケーキの上にクリームを絞り始めた。


その結果、奪い取った絞り袋に無意識のうちに力が入ってしまい、
“これくらい” と思っていた量よりもはるかに多くソフトクリームみたいにうず高く盛りつけてしまったホイップクリーム。
まさかの結果に俺だけではなく、伶菜も驚いてしまったようだった。

伶菜の唖然とした顔と笑いをかみ殺そうとしている入江さんを目の当たりにして、自分が子供染みたことをしていると思い知らされる。

そんな中、その場の空気が冷えないよう、伶菜へのお土産を取り出すことでその空気のコントロールをしてしまう入江さん。


そんな彼に抱く2つの感情
それは
嫉妬
そして
信頼


入江さんという俺が信頼している人間を
伶菜にも知ってもらいたいと思った俺は


「久しぶりに飲もう。ウチで。入江さんに餃子焼いてもらって。」

浜松の人に浜松餃子を焼いてもらうということをきっかけに


「入江さんの焼いた餃子、食べたいです!」

『決まりだな。ついでに泊まっていけば。明日、休みでしょ?』


伶菜とともに、彼を自宅へ来るように誘った。

美味しいものが好きな伶菜の嬉しそうな顔を垣間見たせいで
また入江さんに嫉妬しそうになるのを我慢して。