今朝、福本さんに俺も勉強だと言われたことが功を奏したのか、午前中の病棟回診もその後の入院患者さんの処置なども集中して取り組むことができた。
『ようやく、いつものペースに戻れたって感じだな。』
ようやく落ち着いた自分を自覚し、朝食抜き状態でお腹が空いた俺は食堂に昼飯を食べに行くために財布を取りに医局へ立ち寄った。
医局の自分のデスクの上にあったのは、いつも御馴染みのギンガムチェック模様のお弁当袋。
その隣には
”伶菜ちゃんから預かりました。奥野”
というメモ書きあり。
『抱きしめるとか・・・そんなことしたのに、弁当、作って届けてくれたんだな。』
俺は財布をデスクの上に置き、椅子に腰掛けて両手を合わせ、ありがたくいつものようにその弁当をご馳走になることにした。
ダイスキな牛肉コロッケ
そして肉厚の椎茸が入った筑前煮
セロリときゅうりの手作りピクルス
その他にも色とりどりの野菜が入っていて、それらを見ているだけで空腹感が更に激しくなる
『いつもありがとう。』
まだ夜中も授乳とかで何回か起きていて
昼間も離乳食を作ったりしてる
家事もちゃんとやってくれていて
それで弁当まで作ってくれて
『無理するなって言ってあるんだけど・・・』
ほくほくとしていて、だしの利いたまろやかで優しい味
俺のほっとする時間はここにも詰まっている
『今日はチョコでも入れようか。』
心も腹も満たされた俺は、食べ終わった弁当箱をきれいに洗った後、空箱になった弁当箱に入れる ”ありがとうの御菓子” を選びに売店へ行った。



