それからどれくらい時間が経ったのだろうか?
頬をすうっと撫でられる感触を感じるが、熟睡中だった俺は目が開けられない。
「日詠先生、起きて下さい。」
『・・・伶菜?』
その感触が首筋にも降りてくる。
怪しいその感触に目を開けなくてはと俺は更にもがく。
「朝ごはんにします?それとも、あ・た・し?」
『えっ?!・・ちょっと待て、伶菜、それは・・・』
怪しい囁き声。
さすがに思いっきり目を大きく開けた。
伶菜とこういうことになったことなんかないのに、自分の動揺ぶりに驚いて目が覚めた。
「なにが伶菜だ。この色ボケ野郎!!!! 病棟回診の時間だっての!」
『・・ふ、福本さん?!』
「あら、日詠先生、昨晩はご苦労様だったようで。山村主任からお話は伺いましたわ。大変だったみたいですね~。」
福本さんのふざけ感満載の言動に抗議しようとした瞬間、真面目な空気に持ち込まれた。
多分、ご立腹
久保に対する俺の配慮の足りなさに対してだ
『すみません、俺。久保を上手くフォローしてやれなくて。』
「最近の若者は打たれ弱くなっているから、指導する側も工夫が必要よね?ナオフミくんも勉強よ。」
『そうですね。』
「そうとわかったら、ほら回診!!!!ほら、しゃきっとして元気だして行け~。じゃないと伶菜ちゃんに嫌われるぞ。そんな日詠先生、嫌いって。」
伶菜という最強のジョーカーを握っている福本さんに、お手本になる後輩の背中を押し方を実践され、俺は病棟へ向かった。



