ラヴシークレットルーム Ⅰ お医者さんとの不器用な恋




『そんなものがあったら俺は・・・・自分から主治医を降りたことをいまだに引き摺ったりはしないさ。』


壁際に追い込まれた久保が怯んでいることを充分感じているのに
ずっと心の中にしまっておいた想いまで吐き出す始末の悪さ

先輩として久保を励ましてやらなきゃいけないのに
これじゃ、完全に逆効果


『俺のことに構ってる暇があったら、今日の振り返りをするんだな。明日、ちゃんと患者さんの前で医師として立っていられるように。』

「すみませんでした。患者さんのカルテの入力しながら振り返ってみます。」

『ああ。』


逆効果になっていることに気がついていながらも、冷たくあしらってしまう自分の不器用さにもイラつく

充実している私生活の中で見つけてしまった不安要素に気を取られ、それがちょっとしたことをきっかけに仕事中の集中を切らしてしまうきっかけになっている自分にもイラつく


俺自身は公私ともに充実しているはずなのに
上手く回っていない気がするのは
俺が考え過ぎているせいなのか?


『まだ朝の病棟回診まで時間があるし、仮眠でもして気分転換させてもらうか。』


冷静さを欠いていることを自覚している俺は産婦人科ドクタールームのソファーでぶ厚い毛布を被りながら、仮眠という名のふて寝をした。