「三宅さん。アナタ、日詠クンがそんな事が本当に一番いいと思ってるとでも?」
今まで冷静を装っていた奥野先生の口調が急に強くなる。
「どういう意味ですか?奥野先輩だって産科がよくない方向に傾いていくのが目に見えているんじゃないですか?」
そんな奥野先生に対して、三宅さんはその上を行くような強い口調で興奮気味にそう問いかけた。
「確かに、この病院の産科は今後大変な状況に陥っていくのは目に見えているわね・・・でもね・・」
奥野先生は話の途中で突然、私の方を向いて力強い眼差しを投げかけてきた。
「私だって、ここの病院の産科医師なの。それなりのプライドはある・・・日詠クンのプライベートの事を巻き込んでまで彼一人に産科の将来の責任まで背負わせるつもりはないわよ・・・だから、伶菜ちゃん、アナタと日詠クンは今のままでいいのよ。」
奥野先生・・・
「でも、日詠クンと彼女がこのまま一緒にいるのは、日詠クンにとっていい事なんですか?彼女、妹さんなんですよ!!!!」
「・・知ってるわよ・・・」
「妹さんと一緒にいたって、産科の問題は何も解決できないじゃないんですか?」
日詠先生と私がこのまま一緒にいると産科の問題が何も解決しないという三宅さんの言葉。
それは今まで日詠先生の妹として胸を張って彼に甘えてきた私にとって、如何に自分が何も役に立てない無力な人間だったかを思い知らされるきっかけとなってしまう。
やっぱり私、このままじゃダメだ
このまま日詠先生の傍にいて、彼に甘えたままじゃいろいろな人に迷惑をかける一方なんだ
奥野先生、ごめんなさい
きっと私の今までの複雑な境遇を知っているから、今のままでいいって言って下さったのに
せっかくのそのご好意、無駄にすることになりそうです
「もしかして、奥野先輩・・・日詠クンのコト、いまだに好きだから、私と彼が結婚するのを阻止するためにとりあえず彼女に対して今のままでいいっておっしゃってるんじゃないですか?!」



