ラヴシークレットルーム Ⅰ お医者さんとの不器用な恋




「三宅さん、どういうつもりかしら?」

「奥野先輩・・・・」

声色も表情もいつものように冷静なままの奥野先生。
それとは対照的に、さっきまで私を日詠先生のお荷物呼ばわりしていた三宅さんという女性はその声も、その表情までもうろたえているように感じられる。


「悪いけど、彼女のコト、日詠クンのお荷物という言い方、やめてくれないかしら・・・彼女、日詠クンと私の大切な患者さんなのよ。」

「・・・・・・・・」


さっきまでの高圧的な態度が嘘のように、奥野先生の前では借りてきたネコのように黙り込んでしまった三宅さんという女性。


「彼女に対して失礼だけでなく、彼女のコトを本当に大切に想っている日詠クンにも失礼なコトをしているのよ・・・・アナタは・・・・」

「・・でも。」

下唇をグッと噛んだ後にようやく口を開いた三宅さん。


「でも、私が申し上げた事は事実ですし、私は誤った事を言っている訳ではないと思いますが・・」

失礼なコトをしているという奥野先生の言葉によってすっかり開き直ってしまったのか、三宅さんは自分が正当である事をはっきりと示すような強い口調でそう言葉を並べた。



「・・・・事実、ね。」

態度が一変した三宅さんとは異なり、一切表情を変えずに冷静にそう呟いた奥野先生。

奥野先生のその一言は
日詠先生と結婚したいという三宅さんという人の存在にビクビクと怯えている私には三宅さんが言っている事は事実であると肯定しているように聞こえてしまっていた。

やっぱり、この三宅さんという人が言っていることは、事実なの?


「この病院の産科の問題に対しては、日詠クンと私が結婚という形を取るのが一番手っ取り早く、そして困惑する人が一番少なくて済むんですから、日詠クンだってそれが一番いいと思っているに違いないと思いますが・・・・・」



その方法
日詠先生とこの三宅さんという女医さんが結婚するという方法を
日詠先生自身が一番いいと思っている?

もしも、それが本当ならば
私も産科問題で困惑する人が一番少なくなる方法がいいと思う

私が彼の傍から離れれば済むコトなんだから
私が彼から離れて一から頑張ればいいのだから

だって私は
彼の恋人でも
奥さんでもなく

ただ、妹というだけであって
いつかは彼の傍から離れなくてはならないのだから・・・


『・・・・・・・・』


日詠先生が三宅さんと結婚することを本当に心の底から望んでいるのならば
私は一からでもゼロからでも頑張れるよ