【Reina's eye ケース30:関係者以外立ち入り禁止エリアでの闘い?!】




『お弁当は結構早くできたのに、授乳に時間かかっちゃった!』



緊急呼び出しコールで夜中に出勤した日詠先生に届ける昼食のお弁当を持った私。
予想よりもやや遅れたけれど無事に彼の勤務先の病院に到着した私は迷うことなく医局へ向かう。

医局は病院関係者以外立ち入り禁止区域であり、関係者以外である私も勿論立ち入り禁止。
そのため、いつもは愛想のいい女性の事務員さんが医局の入り口で私が持参したお弁当を受け取り、私の代わりに日詠先生のデスクに届けてくれている。

しかし、その日に限ってはその事務員さんが医局受付のいつもの定位置におらず、私はそこでキョロキョロしながら彼女を捜していた。


「ここ、関係者以外立ち入り禁止ですけど。」

愛想も抑揚もない声が私の背後から聞こえてきて、私は急いで後ろを振り返る。

そこに立っていたのは
昨日、病院の受付で私と視線がぶつかった黒いハイヒールを履いた白衣姿の
あのオトナな女性。


「あらアナタ。昨日、病院の受付で日詠クンと一緒にいらっしゃった方ね?」


この人、やっぱり私と日詠先生が一緒にいるのを見ていたんだ


『あっ、ハイ。』

相変わらず愛想も抑揚もない口調であるその女性に対し、私はビクビクしながら返事をするのが精一杯。


「ここへは何の用事でいらしゃったのかしら?」

『あっ、日詠先生のお弁当を届けに・・・』

突然、自分自身に向けられた彼女の鋭い視線によって声が震えてしまった私。


「お弁当?!・・忙しいから単刀直入にお聞きするけど、アナタ、日詠クンの何?どんな関係なの?」

愛想も抑揚もないだけでなく、怒りまでも込められているように感じられた彼女の声。


『・・・・・・・・』

昨日、視線がぶつかったとはいえ、初めて言葉を交わした人にそんな口調でそんな言葉を投げかけられた私はただ唖然とするしかなかった。


「言えないの?日詠クンとの関係。もしかしてアナタ、日詠クンのストーカーだったり?」

鼻で笑いながら私を上から見下ろすような彼女の態度。
ストーカー呼ばわりされた私はようやく彼女に怒りというものを感じた。


『・・・妹・・・です。彼の。』

自分の腹の中で湧き上がってきた怒りを押し殺しながら返事をした私の声を耳にした彼女はその瞬間、とてつもなく意地悪な笑みを浮かべた。