ラヴシークレットルーム Ⅰ お医者さんとの不器用な恋




猫のきまぐれ・・か
三宅は何が言いたかったんだろうか?

もともと人間関係に関する嗅覚が鋭い三宅のことだ
俺が本当に猫を飼っているとは思ってなんかはいないだろう


俺と伶菜が同居しているこの状況を正確に把握しているのは
院内では福本さんと奥野さんぐらいだ

いくら福本さんがお喋りな人と言えども、
喋ってもいいこと悪いことの分別はちゃんとわきまえている人
奥野さんに至っては、伶菜を困らせるようなことをしたら、ただじゃおかないってオーラを俺自身も感じるぐらい

このふたりが他言するとは考えられない


『じゃあ、どこから嗅ぎ付けたんだ?三宅は。』


学生時代から知っている三宅という女性
学生の頃は
”狙ったモノはどんな手段でもオトす”
そういう人間だった

今はというと、
彼女の父親でもあり、俺の恩師のひとりでもある三宅教授を通じて、俺と結婚したがっているという想いを抱いているらしい彼女

でも、それを受け入れようとはしていない俺


俺のプライベートを嗅ぎ付けたい要素は充分にあるだろう

そうは言っても、彼女も人の命を救う医師のひとり
医師としての真摯な姿勢もよく知っている


『きっとまさか・・だよな。』

考えすぎるとややこしくなりそうと思った俺は


『本当に猫を飼っているっと思ってるだけさ。』

余計なことを考えるのを止め、玄関のドアを開けた。