【Reina's eye ケース29:胸騒ぎの理由】



日詠先生が会議に出かけた後、私達が向かったのは、祐希の心臓の定期健診。
祐希の心臓の調子は安定しているということで診察はすぐに終わった。

売店で飲み物を購入しすぐに病院を後にした私と祐希は日詠先生が作ってくれるであろうペペロンチーノの味を邪魔しないようなおかずを考える為にスーパーマーケットに寄った。


『鶏肉~鶏肉~♪』


ペペロンチーノはオイル系のパスタだから
おかずはトマト系でもOKだよね!
じゃ、鶏肉でも買って、カチャトーレでも作ろうかな
そうと決まったら早くウチに帰って、祐希と一緒に昼寝して充電してからそれを作ろう~っと♪♪

祐希のベビーカーを押しながら、右腕にぶら下げた買い物カゴの中に鶏肉とジャガイモとピーマンを入れる。

『いけない、主役のトマトを忘れちゃダメだよ~。』

カチャトーレには欠かせないトマトもカゴに放り込んでさっさとレジを通り、脇目もふらずに家に向かう。

無事に帰宅した私はあまりにもお腹が空き過ぎて、祐希を授乳させながら、カチャトーレの材料と一緒に購入したサンドイッチを口にした。


『よし、まずは昼寝だ!! もうすぐ夕方だけど。』


そして、授乳中に眠ってしまった祐希を寝室のベビーベッドへ連れて行き、彼と一緒に昼寝をした後、早速、カチャトーレを作った。

キッチンだけではなくダイニングにもトマトの甘酸っぱい香りがたち込めている。
その香りだけでも病院にいるこの家の主に届けてあげたいくらい、私は彼が帰ってくるのが待ち遠しい。

そして、私が首を長くして帰りを待っていた彼は18時過ぎに大きなレジ袋を軽々とぶら下げて帰って来た。