「沈黙は肯定と捉えてもいいのよね?」

『・・・・恋人なんかじゃない。』

「でも早くおうちに帰りたいのよね?メス猫でも飼い始めちゃった?」


メス猫じゃないけれど
面倒くさい事情とかで付き合うことは不要で
無条件に大事にしてもいい存在にもなり得る飼い猫とは
ある意味似ているのかもしれない


『そんなトコだな。』

「ふ~ん。ただの飼い猫なら、遠慮することはなさそうね。今日は急だから諦めるけれど、今度は遠慮しないわよ。」

『・・・ああ。』


三宅が内科医療に真剣に向き合っていることは知っていて
診療科は異なるものの、彼女のそういう姿勢からも学ぶことはたくさんある

だから彼女の存在を無下(むげ)にすることはできない


「そうそう、ひとつ忠告しておくわ。」

『何だ?』

だから、彼女からの忠告とやらにも真面目に耳を傾けてしまう


「猫は忠誠心のある犬みたいに一筋縄ではいかないわよ。気まぐれなところがあるしね。」

『覚えておくよ。』

意外にも彼女が口にした忠告はよく耳にする話
そう捉えた俺は軽く返事をした。

ニヤリと笑った三宅の笑みの意味なんかいちいち知ろうとは思わずに・・・・