「珍しいわね。夜が明ける前に帰れるなんて。折角だから飲みに行かない?」

『・・・今日は無理。』

「じゃあ、明日は?」

『明日も無理。』

「じゃあ、あさってって・・・いつならいいのよ?」

『いつなんだろうな。』

曖昧な返事をしたのは、その気が全くないから。


飲みに行く暇があったら、さっさと家に帰り、
伶菜と一緒にのんびりと話をしながらメシが食いたい
祐希と一緒に風呂で遊びたい

それが俺の正直な気持ち

だが、誘ってくれている相手にそれを言うべきではないだろうと俺なりに気を遣った故の曖昧な返事が

「新しいオンナでもできたの?」

相手の知りたいという気持ちを逆に刺激してしまったようだった。



新しいオンナなんていない
そんなものはいらない
今の自分の状況では必要ない

欲しいのは、今の生活をできるだけ長く続けられるという時間だけ


『・・・そんなのいない。』

「新しいオンナじゃなければ、とうとう現れた本命の恋人ってトコかしら。」

『・・・・・・・』


新しいオンナでもなければ
本命の恋人でもない

いるのは
大切にしたい
守りたい
妹という存在