「ただいま。それで正解だ。キミも祐希のお世話で24時間営業状態だから少しの時間でも眠らないとな・・・・・ホントはもう少しキミをそのまま眠らせてあげたかったけれど、祐希、お腹空いてるみたいだから・・・・あと、よろしくな。」
『あっ、ハイ。』
日詠先生は祐希が着ている衣服の裾をキレイに直してくれた後、抱っこを代わろうと両手を差し出している私の腕の中に祐希を預けてくれた。
『あの、先生?夕飯はどこかで・・・・?』
「懐かしい味、ごちそうさま。本当に懐かしかった。お袋の味がした・・・あの鮭と茗荷の混ぜ寿司・・・おかげで全部平らげげてしまった。」
日詠先生は自分のお腹を指差しながら、照れ臭そうな笑みを浮かべた。
『あの・・・実はすまし汁もあって、ゴメンナサイ・・・温めてお出ししようと思ったのに。』
申し訳なさいっぱいの私は祐希を抱っこしながら俯き、両肩を竦めた。
「そんなコトまで気を遣わなくてもいい。ちゃんと温めて食べたから・・・・」
『食べてくれたんですね・・・』
「ああ。三つ葉の凄くいい香りがして、これも美味かったな。」
日詠先生は両手を合わせ、目を閉じながらご馳走様のサインをくれる。
感謝の気持ちが伝わってくるそのサインに恐縮してしまう。
「さ、祐希も腹が減っているみたいだ。俺、その間、風呂入ってくるから。」
『あっ、ハイ。』
「じゃ、よろしくな!」
日詠先生の柔らかい笑みは全く変わらないままで
彼は祐希の頭を優しく撫でてから浴室の方へ行ってしまった。



